ソナタ楽曲の作り方(おまけ付き)(おまけその2付き!)

    皆さん、突然のお客さまのとき、ソナタ楽曲の手持ちがなかったら困りますよね?何時エステルハージ公爵とお近づきにならないとも限りません。そんな時に簡単にソナタ楽曲を作れるレシピをお教えしましょう。ソナタ楽曲を作れるだけでなく、ソナタ楽曲を鑑賞するのに役立つことこの上ありません。

ソナタ形式というのは2つの主題を持っている楽曲なのですが、もっと重要な要素は楽曲を展開する上での和声展開のプランにあるのです。まず第1主題が主調(トニック)で出て、第2主題が属調(ドミナント)で出るという主題提示部があり、次に展開部が置かれそれまでに出た主題を中心に展開します。展開部の最後のところで主調を導き出して再現部になります。第1主題が再び出て移行部で今度は第2主題を主調(トニック)で出して楽曲を終わらせます。こういう和声展開がソナタ形式なのです。

さてここで楽曲によってこの形式を説明します。主題は「炭坑節」を使います。アンタはそこまで炭坑節が好きなのか?と言われそうですが、そうではなく単にまったくソナタ形式に向いてなさそうな間抜けなメロディーである事と、著作権の問題がないという事によって選んだだけです。こんな間抜けなメロディーでもソナタ楽曲になる、というのが聴きどころです。

主題提示部

まず第1主題が主調(ここではC-Dur)で出ます。

 次に第2主題を出すための移行部になります。第2主題は古典派では普通、属調(ここではG-Dur)で出ますので、ここはG-Durに自然に移行するためにG-Durのカデンツ(D7~Gという動き)が組み込まれています。

第2主題が出ます。主調のままで出ず属調に転調するのは、単調さを避け、楽曲にダイナミックな立体感を与えるためです。これぞソナタ形式のキモの部分で、バロック音楽にはなかったスタイルです。そのまま属調で前半部を終止させて、頭に戻ります。バロックの舞曲はソナタ形式に似た2部形式ですが、転調した2つ目の主題はありませんのであっさりとした小さな曲になっています。転調した2つ目の主題の存在が曲の規模を大きくします。

展開部

提示部を繰り返したあとは展開部に入ります。ここは普通、和声がコロコロ変わって不安定に進行するものです。さまよい歩くように進行してこそ主題の再現が目立つというものです。今まで出てきた主題や移行部のフレーズを利用したり、新しいフレーズを出したりして、ここの長さは曲によって様々です。ブルックナーやマーラーはとても長くなりますが、ここでは最低限の短さにしました。

再現部

第1主題が戻ってきます。古典派ではそっくりそのまま再現しますがロマン派以降は形を変えて戻ることもあります。でも同じ調で戻るのは鉄則です。

第2主題への移行部は、提示部では属調へのプロセスでしたが、再現部では主調へのプロセスという風に変わります。

第2主題が今度は主調で出ます。これは楽曲を主調で終わらせるためですが、むしろ提示部を無理やり属調で終わらせるというのがソナタ形式の特徴なんですね。

では実際に聴いてください。古典派のシンフォニー風のスペシャルアレンジです。トランペットとティンパニが提示部と再現部のそれぞれ最初と最後のところにアクセント的に出る所に注目!なぜならば古典派当時のトランペットとティンパニは基本的にドとソしか出しません(出ません)でしたので、提示部ではドで始まりソで終わり、再現部ではドで始まりドで終わるということになってるからです。この不自由さはむしろ古典派のソナタ形式に非常に合致しています。

おまけ <12音技法による演歌>

今回はおバカ記事として作ったつもりだったんですが、結構まじめな感じになってしまっているので、おまけで凄くくだらないものを載せます。20世紀初頭において、従来からの和声法を基にした音楽の作り方はやり尽くされたと感じていたアルノルト・シェーンベルクはただ無調にするだけでなく、絶対に調性的ならない確固たる作曲技法として12音技法というのを編み出しました。シェーンベルクは「これで西洋音楽は100年持ちこたえられる」と言ったそうで12音技法が従来の調性音楽に取って代わって人々の間に広がると思っていました。

結局どう考えてもそうならなかったんですが、12音技法がどんな音楽にも応用出来るとすると、これで演歌をつくったらどんな風になるだろう?とずっと考えていました。なぜならば演歌ほど12音音楽とかけ離れたものも無いにもかかわらず、演歌というのは伴奏の形態などが非常に型にはまっていて、ほとんど陳腐なまでにガチガチのスタイルをもっているので、ここに12音技法をブッ込んだらどうなるだろう、と常々思っていたんです。いまこそ実行してみます。

その前に12音技法のすごく簡単な説明をします。12音技法自体がすごく単純な原理をもっています。オクターブの12個の音をいくつかのルールに従いながら自由に並べて1つの音列を作ります。そしてこの音列の順番通りに音を出して行く、というだけなんです。ただし順番に沿っていさえすれば、いくつかの音を同時に和音としてもよし、2声や3声のポリフォニーとして処理してもいいらしいです。また1つの音列だけでなく複数の音列を使うことも出来ます。よくやる方法は、最初に考えたのを基本音列としておのおのの音同士の音程関係を上下反転させて作る「反行形」、前後関係を逆転させる「逆行形」、反行形を逆行させる「反行逆行形」、といった基本音列のヴァリエーションを使うやり方です。

これからお聴き頂く演歌楽曲は以下の4つの音列によって作られています。メロディーは常に音列の順に沿っています。

それでは世界初の12音技法による演歌「12音の女(ひと)」をどうぞ。何処かで聴いたことあるような曲ですが、それはきっと気のせいです。

おまけその2!!

もっと臭いド演歌を12音でやったらどうなるのか、どうしても聴いてみたかったので、もう1曲作ってみました。これを聴いてみたいというのは僕の長年の念願だったのです。今度はシェーンベルクの「管弦楽のための変奏曲OP.31」で使ってる音列を使用しました。音楽のシュールレアリズムといった感じのものになったと思います。では歴史上最後に作られた12音音楽となるに違いない演歌「維納音列しぐれ」をお聴き下さい。

 

 

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